第67回 教育研究発表会(愛知教育大学附属名古屋中学校 )

9月27日(金)に本学附属名古屋中学校の公開研究会に参加しました。初めて訪問したので少しそわそわしました。会には,本研究室の4年生1名と3年生2名も参加しました。

提案授業は「中1 反比例とみなすことでマンモスの寿命を推測する」「中3 円周角の定理を利用してカメラの位置を決める」の2本でした。協議会では,他県からの参観者もおられるのでそうした方々の発言機会を優先させていただきましたが,提案性とともに課題もいくつか見られましたので,この場でまとめておきます。

まず「提案性」です。
中1の授業では「データを反比例とみなす」ことによってマンモスの平均寿命を推測する活動が展開されました。2時間かけてゆっくりと学びが構想されていたため,細かなところにまで議論が及んでいたのが印象的です。例えば,「別々の生物のデータをまとめているのだから,データは連続量ではないだろう」や「(〜を見ると)反比例っぽいけど,厳密には反比例ではない」という発言にその雰囲気を感じることができます。

中3の授業では「合唱コンクールのカメラ位置を決める」という現実に起こりそうな場面を取り扱っており,円周角の定理の利用としてはあまり見ない場面を提案してくださいました(サッカーゴールとかバスケとかをよく見る気がします)。「なんかその問題知ってる〜」のような反応がなく,一生懸命生徒は活動に取り組んでいました。

一方で「課題」もあります。
中1の授業では「おおよそ」と「平均」の区別が(授業者的には意図的に?)ついておらず,ごちゃごちゃだったのがとても勿体なかったです。私は普段,言語学的アプローチを用いて研究を行っていることもあり,ここのあやふやさがずっと(いまだに)心にモヤモヤを与えています。笑
授業中に「そもそものデータが先生がうまくまとめたものだから,反比例かどうかは判断しきれない」というニュアンスの発言がありましたが,「そりゃそうだ」と感じました。提案されているデータ自体の値の処理の仕方がまずいのですから。
逆にいえば,ここに着目できた生徒の批判的思考力は素晴らしいと思いました。逆説的にはなりますが,普段の授業によって鍛えられた力が今回はたまたま悪い方に作用してしまったのかもしれません。

そうはいっても,提案性の大きい素敵な授業でした!

中3の授業では「画角」の処理がよくわかりませんでした。もしかすると前時の内容なのかもしれませんが,「画角が決まっているなら,その角度を利用してカメラの位置を検討した方が早いよなぁ」というのが私の本音です。場面を凝りすぎたのかもしれません(一般的に検証する理由がよくわからなかった)。また,現実場面においてカメラ位置が制限されていることは多いものの,もう少し柔軟に設置場所を検討できると活動が充実すると思いました。ただし,私が授業者でも今回の題材に取り組む生徒をどうサポートするかはパッと浮かばなかったので,かなりチャレンジングな題材だったと感じます。

と,偉そうに書いてはみましたが,私では思いつかない素晴らしい提案でした!

引き続きの発展を祈念しております。ゼミ生ももっと積極的に関与できると尚嬉しいですね(今回は忙しい時期だったようなので仕方ないですが)。