12月19日(火)に今年最後の3年生セミナーを開催しました。
今回は,「学校数学における確率・統計の指導」について発表がありました。
本研究室では「数学の基礎的概念を疎かにしない」をテーマの一つとしていますが,残念ながら基礎的概念を軽視したプレゼンとなっていました。
本人には伝えておりますが,「みんなわかっているだろう」と思っている概念こそ意外と難しいです。
「公理的確率」とは何なのか?「ヒストグラムと確率密度関数の関係」はどうなっているのか?,「正規分布に近似できる」とはどういう原理なのか?(高校数学との接続)等々,考え出すとキリがないほどには難しいと思います。
往々にして,現場の教員もこれらの用語の数学的背景に無自覚なまま指導していることもあるわけですが,被害者は純粋無垢に授業から学び取ろうとする「児童・生徒」に他なりません。
例えば,観光ツアーに申し込んで旅行した際,ガイドさんが嘘の歴史を教えていたらどう感じるでしょうか?
私であれば,表面的には感心しながらも「この時間って意味あるのかな?」と心の底では思ってしまうかもしれません。
そもそも,「嘘の歴史を教えられている」ということ自体に無自覚かもしれません。(おそらくこちらのパターンの方がありえるでしょう)
どれだけ流暢に説明しようとも,本質の部分が欠けていたら一気にその価値は失墜しかねません。
学校数学も同じではないですか?
(ギフテッド等教師の想定を超える児童・生徒もおりますが)児童・生徒は真の意味で教師が指導する内容の数学的背景を理解している訳では無いです。
「バレないから」と中途半端な知識で指導にあたることは目の前の児童・生徒のためになるのでしょうか?
それって「教育のプロ」なのでしょうか?
「学び続ける教師」である必要はここにあると感じます。
まだまだ本ゼミ生にもその想いは伝わっていない気がしますが,粘り強く,辛抱強く,学生と一緒に数学教育と向き合っていきたいと思います。
年明けにはさらに成長した姿を見せていただけると嬉しいです。